小規模工事等の着工前に必要な手続きについて
エアコンの取付や壁紙の張替え、外壁工事や塗装等、また賃貸の原状回復工事等の小規模工事等では、工事を行う施工業者(元請事業者)が石綿(アスベスト)使用の有無の調査を行い、一定規模の工事においては調査結果等を石綿事前調査結果報告システムにより報告しなければなりません。
1.事前調査等の実施
事前調査とは?
- ① 書面調査:
- 設計図書等を確認し書面上で石綿含有建材の使用場所、解体等工事に係る建築物等の設置の工事に着手した日、使用されている建築材料の種類を確認します。石綿が使用されている可能性がある建築材料については、石綿(アスベスト)含有建材データベースやメーカーの情報等により石綿の有無を確認します。
- ② 目視調査:
- ①で確認した建築材料について、設計図書と異なる点がないか、現地で建築材料に印字されている製品名や製品番号等を網羅的に確認し、石綿が含まれている建築材料を特定します(現地での目視調査)。
- ③ 分析調査:
- ②で石綿含有の有無が確認できない場合、サンプリングを行い分析機関に依頼して石綿の有無を確認する必要があります。なお、分析を行わずに「石綿有」とみなし、法令に基づく措置を講じながら除去作業を行うこともできます。
- ④ 調査結果報告書の作成:
- ①~③で確認した内容を調査結果報告書として作成します。
- ⑤ 報告書の提出
- (事前調査の結果報告書は、大気汚染防止法に基づき、施工業者(元請事業者)から発注者への報告が必要です。)
- ※施工業者(元請事業者)は、原則、工事の規模・種類にかかわらず改修等の対象箇所すべての材料に対し、事前調査を行う必要があります。
- ※施工業者(元請事業者)は、事前調査の結果報告書を調査終了後、3年間保存する義務があります。
2.有資格者による事前調査
令和5年10月1日以降着工の工事から、施工業者(元請事業者)は有資格者(※1、2)による事前調査の実施が義務付けられています。
- (※1)特定建築物石綿含有建材調査者、一般建築物石綿含有建材調査者、一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て住宅等の事前調査に限る)、令和5年9月30日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても同協会に登録されている者。
- (※2)建築物石綿含有建材調査者等の資格を取得するための講習を行っている登録講習機関は、講習会情報ページを参照。
3.石綿事前調査結果報告システムによる報告
施工業者(元請事業者)は、
- ① 建築物の解体工事(当該工事に係る部分の床面積の合計が80㎡以上)
- ② 建築物の改修工事(当該工事の請負金額(※1)が100万円以上)
- ③ 厚生労働大臣が定める工作物の解体工事又は改修工事(当該工事の請負金額(※1)が100万円以上)
のいずれかに該当する工事の着工前に労働基準監督署と都道府県等に対し事前調査結果の報告を報告システム(※2)で行う必要があります。なお、上記①~③に該当しない場合、労働基準監督署等への報告義務はございませんが、事前調査は実施しなければなりません。
- (※1)「請負金額」=工事費用+機材(材料・機器等)費+消費税を含めた工事全体の合計金額。
- (※2)
- ア Web上から報告(登録)が24時間可能。
- イ 報告システムページの「システムの画面イメージ」を参照。
- ウ 報告システムは、GビズID(デジタル庁)でログインするため事前のID登録が必要です。
4.事前調査の結果、レベル1・2の場合の届出
事前調査の結果、レベル1(石綿含有吹付け材)や、レベル2(石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材)が含まれている場合、工事開始14日前までに工事に関する計画の届出が必要です。
- ※施工業者(元請事業者)は、労働基準監督署へ「建設工事計画届(労働安全衛生規則様式第21号)」又は「建築物解体等作業届(石綿障害予防規則様式第1号)」を提出します。
- ※発注者は、地方自治体(都道府県庁又は大気汚染防止法政令市)へ「特定粉じん排出等作業実施届出書」等を提出します。
- ※レベル3(スレート、Pタイル等その他の石綿含有建材)の場合、条例で提出を求めている地方自治体に対しては提出が必要になってきます。
5.事前調査の結果、石綿有りとなった場合における作業時の措置
- (1)事前調査で石綿が有り(石綿有りとみなした場合も含む)となった場合、石綿除去工事においては、石綿作業主任者の資格を持った者と特別教育を受けた労働者にこの工事を行わせる必要があります。
- (2)その他、施工業者は、労働者がばく露しないよう、法令に基づく必要な措置を講じなければなりません。